――前回はコロナ禍下での取り組みについてうかがいましたが、今回はスタジオルミナスについて具体的におうかがいしていきたいと思います。
スタジオルミナスを立ち上げるときのポイントはなんだったのでしょうか。
もちろん海外風、韓国風のウェディングフォトが撮影できることがコンセプトですが、一号店の「ルミナスお台場」の店舗を立ち上げたときに「シンプル」を念頭に置いて、店づくりをしました。シンプルというのは撮影、料金体系、そしてその後のオペレーションなど、すべてのことを指します。ありとあらゆる複雑なものを取り除くことを考えました。
具体的に言うと、たとえばルミナスお台場の話ですが、衣装を洋装に絞りました。しかも、ドレスは「白色」に限定しています。そして、白いドレスにマッチする撮影セットをつくりました。
――確かに、ホームページの衣装カタログを拝見すると、様々なデザインの白いドレスがラインナップされています。ひとことで「白いドレス」と言っても個性豊かで素敵なドレスがたくさんありますね。
そうなんです。白いドレスを着て、この撮影セットで撮れば、「スタジオルミナスらしいカットが撮れる」というのがシンプルな運営につながっています。
事前の打ち合わせのときにご希望の撮影セットも28シーンの中から選んでいただくのですが、「このドレスのときは、この撮影セットがマッチしますよね」というふうに、こちらからアドバイスをさせていただくこともあります。全ては「最高の1カット」のためですね。
――その「最高の1カット」へのプロセスとして、スタジオルミナスと他社との違いはどんなところだとお考えですか?
「トータルコーディネート」ではないでしょうか。
たとえば、ヘアメイクをする美容室さん、ドレスを借りる衣装屋さん、撮影をする写真室(スタジオ)さん、そして式場というロケーションが同じ建物の中に入っていながら、それぞれ全て「別の会社」ということって、よくありますよね。
とても素敵な場所を借りて、自分のやりたいヘアメイクをして、自分の着たいドレスを着て…と思い通りにできるような気がしますが、実はその「トータルコーディネート」がちぐはぐになっている…ということが起こってしまうことがあるんです。
だから「最初に白いドレスと背景を決めて、それから、それにマッチするヘアメイクを選んでいけば、最高の1カットになる」と考えてルミナスをつくりました。
撮影セットは白いドレスが映えるものを用意していますし、このドレスにこの背景なら、このヘアメイクが素敵ですよね…とお客様と決めていけば、確実にトータルでバランスのよい組み合わせになりますから。「トータルコーディネート」とはそういうことを指しています。
――トータルコーディネートだからこそ、シンプルでクオリティの高いオペレーションにできるということですね。ルミナスお台場には28種類もの撮影セットがあるとお聞きしましたが、撮影のオペレーションでのポイントはなんでしょうか。
撮影におけるシンプルさで言えば、自然光を使わないところも重要です。天候や時間帯に左右されず、いつでも、どのシーンでも安定した撮影ができることで、カメラマンのオペレーションも非常にシンプルになります。撮影時間の長さもカメラマンによって変わるということも起きにくくなります。
それから、ホームページに掲載していますが、料金体系もとてもシンプルです。
例えば、138,000円のプランだと、ドレスが1着で3つのシーンで撮影ができます。そして、12ページのA3ヨコのアルバムをフルレタッチで仕上げています。
こういった感じのプランが4パターンほどあります。スタッフ自身が覚えきれないほど、いろいろな料金設定を設けたり、商品をラインナップしたりすることは避けました。
――まさにシンプルだと思います。「イレギュラーが発生しにくいオペレーション」だと感じました。
そうですね、ほとんどイレギュラーは発生しないです。もちろんお客様のご要望にはお応えしますが、そもそもお客様もこのサービス内容に納得されて、ルミナスでの撮影に臨まれていますから。
商品ラインナップもラボネットワークの写真アルバムプロのA3ヨコサイズに絞っています。ですので、撮影セットも「A3ヨコのアルバムにマッチするカットが撮れること」を前提に設計しています。背景が入る範囲や人物の大きさがA3ヨコのアルバムにしたときに、素敵な一冊になるように。
わかりやすく言うと、「とても素敵な映画のポスターに、そのまま飛び込める」ようなイメージです。
――「A3ヨコのアルバム」というゴールのために、全てが計算されているのですね。
背景(撮影セット)、ヘアメイク、ドレスのバランスが絶対に崩れないようにするようにはなっていますが、決してお客様に押し付けてはいないところもポイントです。お客様自身が衣装を選び、ヘアメイクを選び、背景を選びますから。私達はそれに少しアドバイスをして、「最高の1カット」に繋がるようにお手伝いしています。適正なスタジオ設計、撮影方法、衣装ラインナップ、価格設定をきちんと研究して、オペレーションを組んでいます。
※ラボネットワークメールマガジン2020年9月号の記事を再掲