デートなので定時で帰ります!:今井洋一氏 #1

はじめまして。社会保険労務士法人アイプラスの代表社員の今井洋一と申します。
近年「働き方改革」という言葉がニュースや雑誌・新聞の紙面を賑わしていますが、
これから6回にわたり「働き方」(従業員定着・教育など店舗運営に欠かせない人材話)について、お話をしていきたいと思います。
「労務管理」と聞くと敷居が高く感じがちになりますので、できるだけ易しく解説していきます。

「デートなので定時で帰ります!」と言われたら、定時帰りを認めないといけないの?

どのような会社であっても、社員総出で残業をして仕事をこなしている繁忙期はあると思います。
そんな中で、若手の男子が「デートなので定時で帰ります!。
今日は彼女にプロポーズをしようと思っているんです。」と笑顔で言われたら、定時帰りを認めなければならないのでしょうか?仮に、定時帰りを認めてしまうと、職場全体の士気にも影響しかねません。法的に残業を強制させることはできないのでしょうか?

「働く」ということは、「生ビールください」→「はいどうぞ!300円です。」と同じ。

毎日、当たり前のように出社し、毎月当たり前のように給料日に給料が支払われていますが、趣味で出勤して、趣味でお給料を払っているのではありません。
会社(使用者と呼びます)と働く従業員(労働者と呼びます)との間で、雇用契約(労働契約)というものを結んでいることが前提になります。「雇用契約」と聞くと、敷居高く感じますよね。


例えば、居酒屋で「ビールください!」「はいどうぞ!300円です」「わかりました、300円を払います。」(売買契約といいます)と同じように、働くということも、「○○という条件で働いてください」「わかりました。そうしたらお給料として○○円ください。」というように働く条件とその対価を決めています。この条件にもとづき、使用者側は「労働者を働かせる権利」と「お給料を支払う義務」が発生します。相手である労働者側は「給料をもらう権利」と「“誠実に“労働力を提供する義務」を持つという、権利と義務が対になる関係が発生しています。


今回のケースに立ち返ってみると、働く条件である雇用契約がどのようになっているかで結論は変わってきます。雇用契約に「残業を命じることがある」と書いているのであれば、残業をする条件で雇用契約が結ばれているのですから、残業を強制することは可能になります。
反対に、「残業をさせることは無い」と書いている場合は、男子社員の言う通り、残業をする義務はありませんので、定時に返さなければならなくなります。もちろん、人間関係を壊してもいけませんので、話し合いをすることが大切ですが、そもそも、労働者とどのような条件で雇用契約を締結しているのか、きちんと確認しておきましょう。

人を雇うときは、雇用契約書を取り交わしましょう。

読者の方の中には、「うちは口約束で決めている。」という方もいらっしゃると思います。
しかし、労働基準法では人を雇うときに伝えていなければならない項目が決まっています。大まかに書くと、
【1】いつからいつまでの契約なのか?
【2】どこで働くのか、どんな仕事をするのか?
【3】始業・終業の時刻、残業の有無、休憩時間、休日、休暇はどうなっているのか?
【4】お給料の決まり方、支払日や昇給について
【5】退職や解雇の理由について伝えなければなりません。(これらを知らされないと、安心して働けないですよね。。)
ちなみに、この他にも、賞与や退職金など会社として制度がある場合は、雇うときに伝えておかなければならない内容もあります。働く時間など一部の項目以外は書面で伝えなければなりません。

ちなみに、法律では会社側から通知書を渡せば十分とされていますが、後から「もらっていない」と言われても困りますので、契約書形式にして署名をもらって回収するようにしておくと安心です。


今回はここまでにしたいと思います。
次回は、「社員が「残業代の返上」を申し出てきたら、残業代は払わなくてもOK?」という話をしていきたいと思います。


※ラボネットワークメールマガジン2019年2月号の記事を再掲

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