――今回は「ブランディング」についておうかがいします。前回でも少し触れましたが、スタジオルミナスは「韓国フォト」で人気を集められましたよね。
はい、まずルミナス立ち上げ時に「韓国フォトの10項目」というルールを決めました。モデルの選び方や、ポージング、写真そのものの構図などの10個の項目です。
たとえば「韓国のウェディングフォトはクールなポージング、日本はナチュラルなポージングだよね」のようなところから、もっと具体的に分析して、「これを守れば、おしゃれな韓国風のブライダル写真が撮影できる」というところまで10項目を決めました。
「ルミナスの写真はこれだ!」というブランディングができているのは、そういうルールを重視しているからです。
おかげさまで、全国各地のお客様が撮影に来てくださるようになりました。韓国でしか撮影できないと思っていたような写真が東京で撮れる!ということで地方からのお客様もルミナスを選んでくださっているようです。「ついでにディズニーランドにも行っちゃおう!」というお話もうかがいましたし、ちょっとした旅行気分かもしれませんね。
――日本国内での撮影ということで、安心感もありますよね。どうしても国外だと、言葉の問題などもありますし…。
そうですね。とは言え、実は今は立ち上げ当初ほど「韓国フォト推し」ではないんです。いろいろ分析して、韓国に寄せすぎてもいけないな、と。もちろんベースは韓国フォトですが、寄せすぎないポイントも研究しました。
その結果、オープンわずか半年ではホームページ掲載の写真も、韓国人のモデルさんから、日本人のモデルさんで撮影もやり直しました。
――そうなんですね!さきほどから「分析」という言葉が出ましたが、やはりそこは常に研究されていらっしゃるのですか?
もちろんマーケティングについては、とてもこだわっています。
写真に携わっている方の多くは、芸術家肌というか「感性タイプ」の方が多いのではないでしょうか。
ですが、せっかく有料広告を出しても、結果を見て、何がよかったのか、何が悪かったのかを分析できなければ、集客に繋げることができません。
ですから、お客様から見て魅力的なホームページを用意できて、ブライダル写真の良し悪しがわかって、更に「集客できる写真」の良し悪しがわかる人材が必要です。「わかる」というのは直感的に理解するのではなくて、数字で分析できて、言語化できる能力のことです。
なんとなくですが、実は写真館の「営業写真」と「集客できる写真=宣材写真」は少し異なると考えています。その少し異なる部分こそが他社との差別化となり、集客に繋がっている気がします。
たとえば、コマーシャルを専門とするフォトグラファーさんや専業のスタイリストさんにご協力をお願いしたり、モデルさんにもお金をかけたりすることも、その一環だと思っています。
そうやって宣材写真を作り込み、効果のありなしをきちんと測定することが重要だと思っています。それを言語化することによって、効果がなかった部分がはっきりします。そうすると、次は失敗しないですよね。
やはり自前でのマーケティングには限界もありますから、そういった部分はプロのマーケッターの方に助けていただく必要もあるのではないでしょうか。
いずれもどうしてもお金はかかりますが、将来への投資と思っています。
――コマーシャルを打ったあとの結果を数字として、言語として分析し、次のアクションに繋げていくが重要ということですね。
では、最後にフォトウェディングそのものの今後についてはどうお考えでしょうか?
今後も伸びていくと思います。
それはコロナの影響というよりも、ルミナスだけでなく、「フォトウェディング専門店」が増えてきていることが影響していると考えています。つまり、新しい結婚の形としての「フォトウェディング」の増加です。
かつてフォトウェディングは前撮りが中心でしたが、今では、結婚する方の約50%と言われるのが、結婚しても挙式・披露宴をおこなわない「ナシ婚」層の方です。ですが、その30%は写真を撮ると言われています。
フォトウェディング専門店が増えたことにより、ナシ婚層も写真を撮ってみたいと思う選択肢が増えたのではないでしょうか。今後も、この30%の割合は伸びていくのではないでしょうか。
「結婚式はしなくていいよね」や「結婚式って無駄じゃない?」と感じている層に、特徴のあるフォトウェディング専門店が新しい価値を提供できるのではないかと感じています。
※ラボネットワークメールマガジン2020年10月号の記事を再掲