有給休暇を取りすぎている社員のボーナスは減らしてもいいの?: 今井洋一氏 #3

こんにちは。社会保険労務士法人アイプラスの代表社員の今井洋一です。
今回も働き方についてお話をしていきたいと思います。今回は「有給休暇」について考えてみましょう。

有給休暇をとって休んでばっかり。ボーナスを減らしてもいい?

皆さんの会社では、有給休暇を多く取る社員と、ほとんど有給休暇を取らない社員とに分かれていないでしょうか?経営者やマネジャーであれば「有給休暇を頻繁に取る社員は、お店がどんなに忙しいときも、しっかりお休みをとっている。その結果、有給休暇をあまり取らない社員に“しわ寄せ”が行っており不公平な気がする・・・」と思ったことはありませんか?こういった、有給休暇を多く取る社員のボーナスを少なくし、有給休暇も取らず頑張っている社員に還元することは法律的に問題はないのでしょうか?

有給休暇は法律で認められた権利。取得を阻むことも理由を確認することもできません。

有給休暇は法律で認められた権利であり、会社側は有給休暇の取得を拒否することはできません。
時季変更権という有給休暇の取得時期を変更する権利が会社にありますが、「事業の正常な運営を妨げる」ような理由がなければ時季変更権を行使することはできません。
ちょっと忙しいくらいでは、時季変更権が使えないと考えた方が良いものです。

「それならば、有給休暇を取らせたくないので、賞与を減らしてしまえ!」と考えてしまいそうですが、これもよろしくありません。労働基準法第136条で有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額をはじめとした不利益な取り扱いをしてはならないと定められています。

そのため、冒頭にあった「有給休暇をたくさん取っている社員の賞与を少なくする」という取り扱いは適切ではありません。

有給休暇はパートやアルバイトにも与えなければなりません。

「有給休暇は正社員だけのもの」と誤解されている方もいるかもしれませんが、短時間勤務や1週間の勤務日数が少ないパートやアルバイトにも有給休暇を与えなければなりません。

「短時間勤務なのに正社員と同じだけの有給休暇を与えてしまったら、休みだらけになってしまうじゃないか!」と思うかもしれませんが心配ありません。“比例付与“と言って、勤務日数に応じて有給休暇が付与される仕組みになっています。また、毎日の勤務時間が一定ではないというアルバイトの有給休暇中の賃金の計算方法についてもルールが決まっています。

有給休暇を取得させる義務が会社に求められるようになりました。

2019年4月より、年10日以上有給休暇を付与される者に対して、5日以上の有給休暇を消化させることが義務付けられるようになりました。
ここで注意したいことは「10日以上付与される者であること」となっていますので、勤続年数が長く出勤日数も長いパート・アルバイトや、管理監督者と言われる管理職以上の方であっても労働者として年10日以上有給休暇を付与されているのであれば、年5日以上取得させなければならない対象となります。

 「そもそも有給休暇を取ってくれないのだから、有給休暇を取得させることが義務になっても困る」と思われるかもしれません。有給休暇を取ってくれないとならないよう、労働者の代表者を選んで「労使協定」という約束を結び、取得日を指定して強制的に有給休暇を取得させることができるという仕組みもあります。
もちろん、対象者に5日間有給休暇を取ってもらえば問題ありませんので、かならず労使協定を結ばなければならないということではありません。

有給休暇の取得義務化はビジネスチャンス

「有給休暇が義務化されると仕事にならない」「ますます人手が足りなくなってしまうではないか!」と思ってしまいますが前向きに考えましょう。
有給休暇の義務化は、すべての企業が対象となりますので、日本中で有給休暇を取得する人が増えるということですが、すべての休日をショッピングと観光といったことにお金や時間を費やすことはできません。スタジオでの家族写真の撮影を促したり、スマートフォンを使った写真撮影教室を企画するなど、余暇の使い方の提案ができるビジネスチャンスとして、有給休暇の取得義務化をとらえてはいかがでしょうか?


※ラボネットワークメールマガジン2019年4月号の記事を再掲

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