「褒める」が苦手な上司が、部下と心を通わすテクニック:今井洋一氏 #4

こんにちは。社会保険労務士法人アイプラスの代表社員の今井洋一です。
今回も働き方についてお話をしていきたいと思います。今回は「相手との心の通わせ方」について考えてみましょう。


経営者や管理職など部下がいる人であれば「部下と心を通わせる」というテーマは避けて通れない問題です。部下も感情のある人間ですので、おカネさえ払っていれば一生懸命働いてもらえるわけではありません。誰もが相手との心の距離を縮めるには「褒める」ことが必要とわかっています。一方で褒めることが苦手な方も多いのも事実だと思います。
「褒めるのは苦手。どうしよう・・・」安心してください。
褒めずに相手と心を通わすテクニック「認める」についてお話をしたいと思います。

「その髪型、似合っているね!」は禁句

「その髪型、似合っているね!」と言ったら、「どうせ切りすぎて似合ってないわよ。(怒)」と嫌な顔をされてしまった経験はありませんか?
「褒める」は、こちらが良かれと思って褒めても、必ずしも相手が喜んでくれるとは限らないことが難しいのです。

褒めるは主観、認めるは客観的事実

「褒める」ではなく、絶対に相手に否定されない方法が「認める」です。
「褒める」と「認める」は何が違うの?と思われるかもしれませんが、まったく似て非なるものです。
それぞれ「褒める」と「認める」の違いを見てみましょう。

★「褒める」の例

・そのネクタイ、似合っているね!
・元気よく、電話に応対しているね!
・君は後輩の面倒見がいいね!

★「認める」の例

・今日のネクタイは赤色なんだね!
・いつも3コール以内に電話に出てくれているね。
・一人でお客さんの接客を、最初から最後までできるようになったね。

いかがでしょうか?
「褒める」は“素敵だね!”とか“似合っているね!”といった話し手の主観や意見が入っています。
一方で「認める」は客観的事実のみを伝えています。客観的事実ですので、赤いネクタイを締めている人に「今日は赤いネクタイなのですね。」と言っても否定されることはありません。

客観的事実だけで、相手に喜ばれるの?

事実を伝えるだけで、相手と気持ちを通わすことができるの?と思われますが、実は「認める」で十分です。
相手と心を通わすために必要なことは「私はあなたのことを見ていますよ。」というメッセージを伝えることですので、客観的事実を伝えるだけでも十分です。しかも「褒める」より「認める」の方が相手の気持ちを上手に聞き出すことができます。
どうすれば良いかと言うと「事実を伝えたら、相手の返答を待つ」です。
例えば、

(あなた)「今日は赤いネクタイなのですね。」

と聞いたら少し待ちましょう。そうすると

(相手)「そうなんです、実は娘からのプレゼントで、、、」や

(相手)「今日は大切な商談があるので、、、」

など、相手が気になっていることや言いたいことを教えてくれます。その相手の気持ちを聞いてから、さらに認めたり共感をすれば十分です。

認めると、答える側が一番言いたい内容を話してくれますので、相手の興味関心がどこにあるのかを確認できます。この「認める」は部下だけでなく、お客様に対しても応用ができます。
「今日はご家族でご来店なのですね。」「お持ちのカメラは○○社の○○ですね。」といったように「認める」テクニックを使って、お客様の気持ちを聞き出していきましょう。

「好き」の反対は「嫌い」ではなく無関心。

会社を辞める理由は「キャリア」や「仕事の内容」などが挙げられますが、実際のところ「人間関係」や「上司との関係」であることも少なくありません。働き甲斐のある職場であるためには、部下が「部下から関心を持たれ、人として認められると実感できる環境」であることも大切です。
部下や後輩と心を通わすために「認める」を実践してみませんか?
 ~「好き」の反対は「嫌い」ではなく「無関心」~


※ラボネットワークメールマガジン2019年5月号の記事を再掲

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