時流変化と時流適応:井口章氏 #2

8月より、全6回のメルマガをご担当させていただきます船井総合研究所の井口です。

8月号では、写真館業界の「時流変化」と変化する時流への「時流適応」について、特に「時流変化」をお伝えいたしました。

今回は、前回の最後で少し触れました「時流適応」について事例を踏まえてお伝えいたします。

新しい次の時流の可能性として考えられるエレガンスの次の時流「カジュアル」について、「くつろぐ」カジュアルと「格式ばらない」カジュアルの2点をお伝えしました。では、それぞれの変化へどのように対応していくのかまとめます。


『くつろぐ』 

数年前から、お客様にとって写真館という商売の存在は、家族の大切な記念日の写真を撮るお店ではなく、「家族の大切な記念日を過ごす場所」に変化してきていると認識しています。つまり「場所」と「時間」を提供する商売になってきているということです。

船井総研のあるご支援先様では、少々特殊な事例にはなりますが、新店舗を作るにあたり2階のスタジオよりも1階の待合いスペースに最大の力を注ぎました。こちらは、社長の趣味もあるのですが、1階の待合いスペースを広く取り、さらにはオープンキッチンまで導入し、長時間滞在されるお客様に飲食をご提供する用意をしました。

ところで、多くの写真館では、複数のお客様が店内に混在することが多いと思います。さらに予約の取り方としては、前時間のお客様が撮影している時に次の時間のお客様のお支度を始めるというスタイルも多いのではないかと思います。


このようなスタイルの場合、「くつろぐ」ことを意識し「貸切」スタイルに変えてしまうと単純に売上を下げるということになってしまいます。それでも、先々の経営を考えれば時流の変化に対応した方が良いのです。では、いかに撮影件数を減らさず(予約枠を減らさず)に対応しているのかご紹介いたします。

土日祝だけではなく、平日もお客様が多いような写真館の場合には、現実的に「くつろぐ」を具現化することは難しくなります。このような写真館では、「お客様を放置しない」ということに注力します。どうしても忙しくなるとお待ちいただいているお客様へのお声がけが少なくなることも多いと思います。スタッフ全員で意識し、お待ちいただいているお客様に何かしらのお声がけを出来るようにします。

平日に余裕のある写真館では、「平日貸切」という打ち出し方をします。時間枠で前後のお客様が重ならないオペレーションに変更します。そして、土日祝では対応できないプラスワンの付加価値をつけるようにします。それは、メイキング撮影であったり、プラスワンコーデであったりします。お客様の記念撮影を平日に促す努力は、多くの写真館でされていると思います。私も、全てのご支援先様で取り組んでいます。


それでも、お客様の生活サイクルを考えると、どうしても土日祝に集中してしまいます。では、平日でもご来店下さるお客様は、どんなお客様なのか?お母さまとお子様だけでもご来店いただける方、幼稚園・保育園・小学校終わりにご来店いただける方、比較的少数派ではありますがお父様も平日お休みの方、土日祝の混み合う時に利用したくない方、このようなお客様が、どんな時間帯ならば動きやすいのか、何を提供したら魅力を感じてくれるのかをアイデア出しをして企画を考えることが大切です。

その他、投資が可能な写真館の場合は、「くつろぐ」を意識し、本店に対しサテライト的な貸切スタジオを支店としてオープンします。本店は従来稼働、支店は貸切という役割分担です。

次回は、『格式ばらない』カジュアル対応の事例についてお伝え致します。


※ラボネットワークメールマガジン2018年9月号の記事を再掲

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