――前回までのブランディングとマーケティングに関する反響が大きかったので、今回は更に深くおうかがいしていきたいと思います。
基本的なところに立ち戻りますが、ブランディングとマーケティングというのは近いもの…というイメージがありますが、櫻井氏はどうお考えでしょうか?
私の考えでは、まず「ブランドは構築するもの」だと考えています。そして、マーケティングは集客のためのひとつの手段だと思っています。もちろんマーケティングもブランドを構築するひとつの要素ではありますが、ほかにもカメラマンのスキルや行き届いた接客応対などの社員教育、コンセプトなどのトータルがブランドを構築すると考えています。
――日本国内ではなかなか似たものがない特徴的な「スタジオルミナス」を立ち上げた櫻井氏から見て、いわゆる「街の写真館」のブランディングに対してのアドバイスはありますか?
アドバイスするなんて、とんでもないです。
ただ、私がルミナスを作る時に一番気を付けたのは、わかりやすく、明朗なプライス設定です。現代社会で、お客様の支持を得ているサービスは、その業種業態に関わらず、また、価格の高い、安いに関わらず、シンプルで明朗なプライス設定のサービスだと思っています。なので、プライスの明瞭さは、安心のブランド構築につながると思っています。
――確かに、第二回のインタビューでもスタジオルミナスの価格設定はシンプルにしたとおっしゃっていましたね。撮影プランは4パターンに絞ったというお話でした。
やはり「明瞭会計」は櫻井氏にとって重要な項目なのでしょうか?
とても重要だと思っています。近しい業界に置き換えて見たらわかりやすいのではないでしょうか。
例えば、結婚式。皆さまは、きっと打ち合わせに行く度に価格が上がる、挙式時の聖歌隊、披露宴のドレス、お花、キャンドル、ケーキetc. などと聞いたことがあるのではないでしょうか。実はこれは、著しくお客様の信頼を失う行為ではないかと感じています。
ですから、やはり大切なのはお客様にご納得いただけるシンプルでわかりやすいプライス設定だと思います。
――おっしゃるとおり七五三のアンケートなどでも「ホームページやチラシを見ても、最終的に必要な合計金額が分からず、撮影が終わったら、写真自体には満足しているが、こんなにお金がかかると思わなかった」という声を聞くこともあります。こういうことがあると、リピーターには繋がりづらいですよね。
確かに価格コンシャスなお客様は、一定数いらっしゃいます。ですので、プライス戦略は、各社各様でいいのかもしれません。
ですが、自分としてはホームページに明朗なプライスを記載し、店頭でもそのプライスでサービスを提供することが理想であり、それがお客様の信頼にもつながると信じています。そして、常にそのプライスでご購入いただける『写真の価値』とは何か、品質は、時代のトレンドは、撮影方法は、と掘り下げていくイメージでしょうか。
――「自分たちの写真の価値をお客様へ伝えること」が集客になっていくということですね。それでは、写真館業界において、どういう手法で集客していくことがスタンダードになっていくと考えますか?
写真館業界に限定した話ではありませんが、もちろん集客手法は、よりネット中心になっていくのではないでしょうか。今やスマホですぐに何でも調べられる時代ですから。
ですから、特に重要なのは「ホームページの写真が魅力的であること」「ホームページの構成、ページ遷移が顧客動線に沿ったものであること」だと思います。「お客様が動線に沿ってサービスを理解し、適正な価格だと納得したうえで買っていただける」ホームページが不可欠だと思います。
それから、FacebookやInstagramなどのSNSはとても重要ですが、あくまでもホームページへ誘導する「ジャブ」みたいなものであると考えています。
そうやってホームページをしっかりと作り込んだとして、更にSEO対策をするのか? あるいはリスティング広告は?ディスプレイ広告は?…といろいろ考えなければなりません。
今後はネットで自分たちの「価値や魅力」をしっかりと伝えられなければ、生き残っていくのは難しいのではないでしょうか。
※ラボネットワークメールマガジン2020年11月号の記事を再掲
ラボネットワークがご提案する写真館向け集客支援サービス「photobase」は、写真館撮影のきっかけづくりをお手伝いさせていただきます。
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