ネットワークサービス:池田 博氏 #4

ネットプリント

フィルムが無くなり、撮影した画像がデジタルデータになるとフィルムを店頭に持ち込む必要がなくなるので、画像データをネットワークで送信し、プリントを作成するというサービスも急速に普及しました。

世界初の商用ネットプリントサービスは、実は日本で誕生しました。1996年に江端浩人氏が設立したデジプリ株式会社です。サービス開始時の出力機には自分も関わったデジタルプリンタが採用されました。
このプリンタはオンラインラボのサービス導入時にも使われました。

現在、LNWが提供している、PPMクラウド、Pro Photo Maker(PPM)、SIFT-web、自宅de写真アルバムPRO、自宅deフォトブック工房Plus、オンラインラボ等のサービスはデジタルならではのサービスになっております。

最終的なプリントを行う印画紙はまだ使われていますが、フィルムはほぼ駆逐された状況となり、本当の趣味の世界になってしまったのは、皆さんも良くご存じの通りです。

デジタル写真プリントの300dpi

銀塩写真プリントの解像度やラボ生産へのデジタルプリントの入稿解像度が300dpiという記述が多く指定されているのを疑問に思われる方もいらっしゃると思います。
確実な話ではないのですが、自分はイーストマン・コダック(以下EK)が1992年にフォトCDのサービスを開始したときに35mmフィルムをスキャンし、4Base(1024×1536 pixel)に保存したのが元だと思っています。
これは、L(3R)版(89×127 mm)にプリントすると約300dpiの解像度となります。
当時のKodak Gold 100のフィルムのMTF(Modulation Transfer Function:空間周波数特性)から算出したとEKの資料で読んだことがありますが、現在手元にこのドキュメントが無いのでうろ覚えです。
銀塩フィルムの解像度は非常に高いのですが、実際にはカメラのレンズを通したりプリントを焼き付けるプリンタのレンズを通したりするのでどうしても劣化します。
(特別に作られ、完全に調整されたレンズは別として、意外と普及品のレンズのMTFは低いのです)
当時としては、300dpiの解像度は比較的高い解像度だったと考えています。

余談ですが、MTF曲線は縦軸がコントラスト比で表現される(横軸はレンズの場合、画面中心からの距離、フィルムの場合は空間周波数)のですが、フィルムの場合、空間周波数が10本/mm程度の場合、1以上になります(フィルムのテクニカルインフォメーション等に記載されています)。
要するに被写体よりもフィルム上でのコントラスト比が高くなるということで、これが高コントラストやシャープネスに寄与します。
これはインターイメージ効果(IIE)と呼ばれているもので、現像中にRGBの各層の発色時にそれぞれ他層の現像抑制をするように設計(タイミングDIRとかスーパーDIRとかと呼ばれていました)されており、例えば赤を撮影するとR層の現像が進み、B層とG層の現像抑制をするので、さらに赤が際立つという効果があります。そのため、特に低周波側のコントラストが高くなります。

入稿画像データ

出力時の鮮鋭性を上げようとシャープネスをかけて入稿いただく場合がありますが、通常ディスプレイで見て調整した鮮鋭性は出力時には反映されません。
これは、ディスプレイで見た時の解像度と実際の出力時の解像度が異なるためです。また、プリンタにデータを渡した後、プリンタ内のソフトで解像度調整処理されることが多く、せっかくのシャープネスの処理が生きてこないことも多く、逆にプリント画像が劣化することがあります。


<イレギュラーな画像データについて>

ラボで多くの注文に触れていると、エラーが出たり、クレームになったりするものがあり、ラボ側の責があることもありますが、よく確認するとイレギュラーな画像データが入稿されることがありますので、少しご紹介したいと思います。

プリント時のピントが甘い

確かにプリントがぼけた様に見え、入稿データのExifデータを確認したところオートフォーカスで撮影されていました。スタジオでの家族写真でしたが、人物の顔ではなく人物と人物の間のバック紙にフォーカスされており、人物のピントが外れていました。根本的な解決ではないのですが、シャープネスを強めにかけて再プリントをしています。

JPEG入稿

多くのプリント出力はJPEGファイルでの入稿をお願いしていますが、入稿システムのファイルチェックに引っかかることがあります。多くは、PNG画像やTIFF画像のファイルの拡張子だけをJPGに変更したものです。お手数でも再注文をお願いしていますが、ラボ側で画像ファイルフォーマットを変換することもあります。

TIFFのトリミング

ラボ内での画像処理はAdobe Photoshopで処理することも多いのですが、プリントを納品した後、お客様からトリミングが異なるというご連絡がありました。入稿のTIFFデータのクリエイタソフトを見るとLNWのお得意先様ではあまりメジャーではないソフトで処理されておりました。実際、そのソフトで入稿TIFFデータを開いてみるとお客様のご指摘の通りのトリミングがされているのですが、Adobe Photoshopで入稿TIFFデータを開くと同じトリミングになっていません。TIFFデータ処理がソフトによって異なる例でした。

色空間が異なる

ラボ機器の色空間はsRGB前提で設計されているため、sRGB色空間での入稿をお願いしていますが、AdobeRGBでの入稿がたまにあり、プリントの彩度が低いプリントに仕上がります。ラボ側で色空間変換をかけることもありますが、極力sRGBでの入稿をお願い致します。

カラーモード

ラボ機器のカラーモードはRGB前提で設計されています。写真関係の方は基本的にRGBで入稿していただいているのですが、まれにCMYKで入稿されるお客様もいらっしゃいます。基本的には、RGBでの再注文をお願いしていますが、ラボ側でCMYKに変換することもあります。RGBとCMYKの相互変換は単純な計算では色が変わってしまう場合も多く、やはりお客様側での確認後の入稿が重要となってきます。

Exif情報

ラボでは、画像データの回転方向をExifのメタ情報でシステム的に確認しています。特に入稿後にWeb等で公開するスクール写真等はこの回転情報が非常に重要です(カメラで出力される画像は全て横長で、Exif内にどこが上になっているのかが書き込まれています)。お客様によっては、完全にExif情報が欠落した状態で入稿される場合があり、ラボでは目視でチェックせざるを得ない場合があります。Exifの回転情報は削除しないようにお願い致します。


デジタルカメラやデジタル画像処理は処理の自由度が高く、処理するソフトも多岐に渡っているので、よりよいプリントを作成するためにもう少しLNWでお手伝いできればと考えております。

次回以降もよろしくお願いいたします。

ラボネットワークのフォトプリントについて

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