今回以降は、ラボマン視線で数多くのお客様の画像データを解析した経験則をお伝えします。
スタジオで使用するカメラについて
カメラメーカー毎に特徴を把握する重要性
私たちは日常のジャッジ作業の中でカメラメーカー毎に画作りの特徴を把握し対応しています。
jpg撮って出しでワークフローを構築しているケースでは、この差は最終プリントに大きく影響しますが、本稿ではあえて個別の評価は避けます。
もちろん設定するカメラプロファイルで出力画像のイメージは変化しますが、各社間で最も差異が生じるのは肌色階調色再現です。
まさにポートレートでは最重要ポイントです。機種選定は自社スタジオにおける実写テストを強くお勧めします。
照明機材について
LEDランプの注意点
最近はスタジオの大道具小道具を完備し、定常光ライティングが多くなりました。
その多くはLEDランプによる光源です。光質が安定しているストロボ光源では問題にならなかった色再現性に問題が生じています。
一般的にはLED光源の色温度特性ですが、その構造上ゆえ、分光特性が重要です。
一般に撮影に使用されるであろうLED蛍光管は、BlueのLEDを発光させ含有する紫外線でYellow蛍光体を発光させるB+YFLタイプです。
加えてデジタルカメラはフィルム特性と比較し、色温度変化に敏感で混合光線のような画像を生成しがちです。昔の蛍光灯でカラー撮影すると、目には感じない緑カブリに悩まされた経験が思い出されます。
LEDランプで再現性を保つために
これを把握する指標が、撮影光源の演色性(Ra)で、簡易的にSECONICのスペクトロメーターで計測する事ができます。
LED光源のRa値が低いとRa値計算には含まれない指標R9(Red)とR15(肌色)再現性が低下する場合が多く、Y蛍光体のGreen輝線と相まって肌色に赤みが乗らず黄土色系の不健康な色再現になってしまう現象が多く見受けられます。
最近ではRa95以上のリーズナブルな価格のLEDランプも数多く出回っています。
人の肌色を再現する大切な要素R9やR15がRa値には反映されないのでRa値だけではなく、実写テストを強くお勧めします。
ちなみにラボ評価LEDランプはRa97以上です。
ISO感度が必要以上に高く設定されるケース
高感度設定の問題点
お客様のオリジナルデータを詳細解析する場合、画像に埋め込まれているExif等のメタデータを参照します。ストロボ撮影なのにISO1600、定常光(LED)照明はこの傾向が顕著でISO6400、などの設定が多く見受けられます。
フィルムネガ時代の最高感度はコニカのISO3200、シャドウは粒子が数えられそうな粗粒子品質。デジタルカメラの大きな特徴は高感度性能です。
しかし不用意な高感度設定は、イメージセンサーに微弱な光を与え、電気処理で増幅する原理です。シャドウノイズや解像度劣化を避ける事ができません。
画像劣化を防ぐために
デジタルカメラの高感度耐性はリリース年代やセンサー画素数が大きく関わります。
自然光撮影では光量調整がままなりませんが、自ら構築できるスタジオライティングでは使用カメラでISO感度による画像劣化を生じない範囲を事前テストして決定する事を推奨します。
肌色階調色再現においてノイズは大敵です。
次回は12月下旬公開予定です