ラボ技術者としての「色の表現」に関するポリシー:川原敏之氏#4

画作りに関するポリシー

今回以降はラボ技術者視線で、ラボ実務経験で大切にしている事、そしてお客様のデータに接し感じている事を書き進めます。

色補正する上で重視しているポリシー

『ポートレートをジャッジ(色補正)する上で重視している画作りポリシー』をお話しします。
デジタル写真研究の中で、画作りポリシーを3種類に大別して解釈しています。

  1. ノーマル(ナチュラル)カラー
    トラディショナルな美しいカラー写真美しいの基準はプロカラーネガフィルム熟成期
    整った連続的な階調や色再現性をイメージしています
  2. イメージカラー
    色温度軸変化を基本にした印象写真
    夕陽の色や夜明けなど自然~アンティークな色再現などです
  3. クリエイティブカラー
    デジタルの自在性という特性を生かした現実にあり得ないような創造的写真表現

ラボ技術者として規定している彩度表現の幅

流行のインスタ映えなどが好例ですが、これはラボジャッジワークに適合せず撮影者が自らの創造性で作り出す写真だと考えています。
デジタル化以降、とてつもなく高彩度な表現が見受けられます(クリエイティブ表現では許容)。

私がラボ技術者として規定している彩度表現の幅は、かつてのリバーサルフィルムによる再現域以内を目安としています。


高彩度上限は、フジVERVIA~コクのある低彩度はEKコダクロームといった具合です。

ポートレートにおける肌の質感

思い出の艶やかで透明感のある肌色

営業写真スタジオの被写体は若い女性が多い。
私がイメージしているカラー写真における肌の質感について、 思い出話を披露します。

私がまだ17歳で池田高校3年生だった頃、生まれて初めての関東修学旅行で、観光先の東京タワーに常設されていたマダム・タッソー蝋人形館に行きました。
そこで見たマリリンモンローの活き活きとした肌色や、蝋人形ゆえの透明感は今も印象的に記憶しています。

ラボ技術者として、できる事ならカラー写真であの『艶やかで透明感のある肌色を再現したい』と考えるに至りました。

銀塩写真にこだわる理由

出力は適材適所で

LNWプロラボでは、銀塩カラーペーパーをはじめ液体トナー方式印刷出力、そしてインクジェットプリントなど各種出力機器が完備しています。
私は銀塩出力至上主義者ではなく、適材適所を基本方針としています。

本連載で述べている『営業写真におけるポートレート品質』を追求する上で、銀塩出力の優位性は理論的にも実技的にも揺るぎないと感じます。

例えば、ネイチャーフォトで青空に映える紅葉や新緑のシーンでは、制御しやすいインクジェット出力は魅力的に感じます。

肌の質感表現に適した出力

ポートレートにおいて、先に説明したあるべき肌色階調色再現では、ゼラチン層中に透明色素が3層で重層的構造を持つカラーペーパーは、原理的にも肌の艶感や透明感を再現する素晴らしい素材であると言えます。
加えて、重層構造ゆえ1ピクセルですべての色や階調をアナログ的に再現できる事も濃度階調型素材の優位点です。

これに対し、面積階調型のインクジェット出力は、ドットを重ねる事はなくドット面積でデジタル的に色や階調を再現しています。
退色性に優れた顔料型インクないしトナーは、不透明でまさに透明感を再現しづらい素材です。

1820年代後半に発明された銀塩写真法、そして1912年にR. Fischeが発明した発色現像法、それ以降各感光材料メーカーのたゆまぬ開発努力により完成された銀塩カラーペーパーは、デジタル時代でも優れた写真性能や抗褪色性等、ますますその真価が発揮される状況にあると断言します。

ラボネットワークのフォトプリントについて

次回は10月下旬公開予定です

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