フォトグラファーの集客、マーケティング戦略:西村 一光氏 #5

これまでフォトグラファーのディレクション、プロデュース、ブランディングについてお話させていただきましたが、今回は集客、マーケティング戦略についてお話させていただこうと思います。


今までのコマーシャルフォトグラファーは基本的には広告代理店、出版社、制作会社などから仕事をもらうのがメインでした。むしろネットやSNSがない時代においてはそれ以外のところから仕事を得ることはそもそも困難でした。

これがデジタル、インターネット時代になってどうなったかと言いますと、広告や雑誌、制作予算の低下によって、前述のようにフォトグラファーの仕事が減り、また単価も絞られるようになってきました。

この段階で諦めてしまったり、フォトグラファーは稼げる仕事ではなくなったと言って業界を去ってしまった人も多くいると思います。

私もちょうどこの時期にフォトグラファーとしての活動を始めたのですが、最初のクライアントはやはり出版社や広告代理店、制作会社でした。


この時期にちょうど二つの大きな失敗があり、私も集客やマーケティング方法を大幅に変革したのですが、もしここで何もしなかったらどうなっていただろうと今でも思っています。

当時の私はほぼ1社の制作会社から1つのクライアントの通販ECの仕事をメインで受注していました。割合でいうとこのクライアントの仕事が8割、他の仕事が2割程度でした。

毎月レギュラーで仕事を受注できて、仕事は忙しいながらも安定した日々でした。

ところがちょうどリーマンショックがあり、翌年その余波によるクライアント側の業績不振からコスト削減をしたいという話がきました。

クライアントは大手通販会社なので、弊社以外の撮影会社3社ほどと取引していました。
簡単にいうと最もコストを抑えられる一社に集約したいという話でした。

競合と戦った結果、従来の半分程度に予算を抑えなくてはいけなくなるため、弊社としては撤退するしか方法がありませんでした。

さてこのクライアントを失ったことで売上が8割減少することになってしまいました。

大きなクライアントひとつに依存した結果、他のクライアントと取引がほとんどないため大きなダメージを追ってしまいました。

「特定のクライアントへの依存体質」これが一つ目の失敗です。


そしてこのクライアントを失ったことで新たな仕事を受けなければならなく、制作会社経由でしか仕事をしていないため、足下を見られ、低単価や条件の悪い仕事でも請けざるをえない状態になってしまいました。

「集客機能を自社で持っていなかった」ということが二つ目の失敗です。

スタジオを引き払ったりしてコストを削りに削って細々と存続することはできましたが、そこから数年後、今度は東日本大震災の影響による広告出稿の停止が相次ぎ、ほとんどの仕事がなくなってしまいました。


ここで私はひとつ決断しました。

依存体質をやめ集客を自社で行い、直接多くのクライアントから受注をすることです。言葉にすると簡単な話ですが、実際どうするのかは非常に難しい話でした。

色々と方法を考えた結果、私は学生のころにITベンチャーでアルバイトをした経験があったので、webでの集客をすることを思いつきました。


それまでももちろんwebサイトは持っていたのですが、ポートフォリオのようなこちらからの一方通行なサイトでしかなかったので、お客様側からどういうサイトだったら問い合わせをしたくなるのかということを徹底的に考えた結果、料金を明瞭会計で表示することにしました。

今では時間制の撮影サービス等がけっこうありますが、当時はまだ珍しく、カメラマンは相場がわからず頼みにくいというイメージが強かったです。

webサイトはできましたが、当たり前ですがそれだけではアクセスがほとんどありません。そこで検索サイトでカメラマン等のワードで上位に来るサイトに交渉してバナー広告を出稿したり、リスティング広告を出したりしてアクセスを増やしました。

特にリスティング広告はクリックごとに課金されてしまうので、そもそも弊社の単価と合わないお客様にはクリックされないように広告に料金や内容を明記することで少しハードルをあげるようにするなど工夫をしました。


結果的にはこれがうまくいって、何十社にも分散した売上を得るようになり、また既存顧客7割、新規顧客3割ぐらいのバランスで受注ができるようになって健全な状態を作れるようになりました。

またこのwebサイトにより、受注の方向性のコントロールもできるようになりました。

基本的にお客様はサイトに載っている写真を見て、同じような写真を撮りたいということで問い合わせをするので、例えばとても簡単に言えば、モデル撮影の仕事を請けたい場合はモデル写真を多く掲載する、商品撮影の場合は商品写真を多く掲載する、といった形でコントロールが可能になりました。

リスティング広告のワードやブログ記事の投稿によってもある程度方向性を変えられるため、一見するとネットでいろんなクライアントから仕事を受けるとなんでも屋さんになってしまいそうなイメージがありますが、むしろ自分の写真を基準に仕事がくるので結果的には自分の写真を気に入ってくれるお客様とだけ仕事ができるようになったことは大きな発見でした。

デジタル時代になり、仕事が減ったというフォトグラファーの話をよく聞くようになりました。たしかに全体として仕事が減ったという部分はあるかもしれませんが、インターネットやSNSの台頭によって写真が必要とされる場面自体はむしろ増えてきているように思えます。

弊社でのwebでの集客はまだ一例で、他にもSNSを利用して集客をしたり、今後も様々な新しい方法での集客方法が出てくると思うので、時代に順応して新しい方法を模索していける能力が大事なのではないかと思っています。


さて、次回はいよいよ最終回となります。

第6回は「技術をどう継承していくか?フォトグラファーの未来」としてフォトグラファーの今後についてお話したいと思います。


※ラボネットワークメールマガジン2021年12月号の記事を再掲

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