フォトグラファーのプロデュース力とブランディング:西村 一光氏 #4

前回はディレクションについてお話させていただきました。

今回はさらにプロデュースやブランディングについてお話させていただこうと思います。


今の時代にはフォトグラファーはただ写真を撮れるだけでは生き残れないとお話してきましたが、弊社では写真撮影の現場を仕切るディレクションだけではなく、撮影そのもののプロデュースを行う段階からの仕事が増えてきています。

前回のお話でも触れましたが弊社はクライアント(メーカー等)から直接のご依頼をいただくことが非常に多いため、撮影のしかた自体が決まっていて、それをディレクションするという段階よりも、写真を使う媒体やターゲット層、大まかな仕様が決まっている段階で、どのような写真を撮っていくかの提案をして、必要なロケ場所やモデルキャスティングも含めたトータルプロデュースといった業務形態が多くなってきました。

クライアントの目的を的確に汲み取り、それを写真の力で実現するのが写真におけるプロデューサーの最も重要な仕事となります。

ここで大事なのがヒアリングだと思っています。クライアントサイドの求めるものが必ずしも明確とは限りません。特にクライアントが大きな企業の場合は担当者の声=クライアントの声ではない場合もあるので、さらにその先にいるクライアント上層部、そしてなによりエンドユーザーの声をヒアリングしなくてはいけません。

よくフォトグラファーはコミュニケーション能力が大事、と言われます。ただ面白い話でモデルを笑わせられるかどうかだと思われていることが多いのですが、実際にはそういう意味ではなくクライアントや現場スタッフと的確に撮影意図を共有するためのコミュニケーションがとれるかどうかが真のコミュニケーション能力なのだと思います。

少し脱線してしまいましたが、フォトグラファーとして培ったこのコミュニケーション能力はプロデュースをする場合にも活きてくると思います。

クライアントの要望を聞き出し、撮影という場をプロデュースした上で撮影を行い、最終的にクライアントに利益を生み出すことができれば、自分の写真に確かに商業的な価値が生まれます。写真だけなら簡単に撮れてしまう時代においては価値を生み出すことができることが重要です。


今回もうひとつのテーマがブランディングです。

フォトグラファーにとってブランディングすることが今とても重要なことになってきています。ブランディングとは大まかにいって、自分の立ち位置を確認し、またその立ち位置を第三者に対して明確に示す作業だと思っています。

たとえばそのひとつが専門性で、人物撮影がメインなのか、商品撮影なのか、建築撮影なのか、といったものは大きなブランディングとなります。

都心部のフォトグラファーでいうと基本的にフォトグラファーは非常にたくさんいるため、専門性を打ち出したほうがブランディングがしやすくなります。自分を全くしらない人から見れば一口にフォトグラファーといっても何が撮れる人なのかがわかりにくいので、例えば「商品撮影専門」という人がいれば商品撮影をするときには相談してみようかなというふうになります。

ただこれだけではまだ弱く、商品撮影といっても商品は色々あるのでどういったものに強いのか、どういう作風なのかという部分もわかりやすくアピールする必要があると思います。

例えば弊社でいうと商品撮影とファッションがメインでかつ高級ブランドの撮影が得意というブランディングを行っています。

これは商品撮影でも特に質感描写にこだわっているため高級品のような細かい質感を表現できるという根拠があり、また高級ブランドが持っているような世界観を表現できるライティングの技術を持っているという部分もアピールしています。


また、前述のプロデュース力やディレクション力も大きなブランディングの柱になります。

今の時代カメラを買ってきてSNSのアカウントをひとつ作って作品を載せればそれでプロとして活動できてしまうので、ただ偶然良い写真が撮れただけ人でもバズることができるれば成り立ってしまうかもしれませんが、0ベースから組み立ててきちんと目的に沿った写真を撮ることができるというブランドを確立することがやはり生き残るのには重要となってくると思います。

先ほどプロデュースについてのお話でも少し触れたように、今は誰でも写真を撮れる時代ですから、誰でも撮れる写真と自分の写真との違いを明確にし、その写真に価値があるということをアピールすることがとても大事だと思います。

ではブランディングはどうやってやっていけばいいのか。これはもちろん対クライアントで個別に行っていく部分もありますが、今はwebサイトやSNSを活用するのが最も簡単なのではないかと思います。

弊社の場合は法人ということもあり、対企業の仕事が多いため信用としてwebサイトを活用していますが、フリーランスのフォトグラファーであれば制作の手間や更新、さらに拡散を考えるとインスタグラムやtwitterを利用したほうが効率が良いと思います。

次回はこのSNS活用のお話など、フォトグラファーの集客やマーケティングについてお話します。


※ラボネットワークメールマガジン2021年11月号の記事を再掲

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